舞台となるのは、出口のない農場で、足を踏み入れると、そこはまるで現在から取り残されたような一種異様な場所だった。(略)逃げているうちに罠を踏んで重傷を負ったショーンは、それを仕掛けた主が所有する農場で看病を受ける。だが、自分は怪我人としてそこにいるのか、あるいは囚人なのか、わからなくなるような出来事が起こる。それでも、逃亡者ショーンにとっては、人里離れたその農場は願ってもない隠家であった。
そして、農場のひと癖もふた癖もある家族とともにすごす奇妙な日々がはじまるが、彼らもまたショーンと同様に、人には明かせない秘密を持っていた。真夏のフランスの田舎の風景は止まっているように見えるが、着実に季節は変化している。青い葉は枯れ落ちて、やがて朽ちる。農場もまた、その必然の力に押され、隠していた”秘密”を露呈していく。その秘密を知ったあとは、もはや読者はページをめくる手を最後まで止められないだろう。
(訳者あとがきより)
主人公ショーンが血のついた車に乗って何かから逃げているのだが、その何かを常に気にかけながら読み進めていく楽しさ。
農場から出て行こうと思えば出て行けるのに、出た先には不確実しかないと感じ、農場の内側にいることで安堵を感じるショーンの心境。
どういうクライマックスが待っているのか、後半は一気に読み進めていました。
ありがとうございました。
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