図書室のキリギリス(竹内真著)

”「そういうフレーズを覚えておくと、こうやって笑いもとれて便利でしょ?友達に、こんな面白いセリフがあるよって話したり、ブログやツイッターに書き込んだりしてもいい。そのための、ちっちゃいネタまで探すつもりで、本棚を眺めたり本のページをめくったりしてほしいの。そう考えるだけで、宝探しみたいな気分で楽しめるから」”
”大隅くんは読書の習慣がないと言っていたけど、そういう本の繋がりだけでも知ってほしかった。ネットのネガティブな噂より、現実世界でのポジティブな思いの連鎖に目を向けてほしい。自然の中で命が繋がっていくように、人の思いも脈々と繋がっていく。そうやって生まれた本があることを、図書館を通して伝えたかった。”
●第3話「小さな本のリタ・ヘイワ―ス」より

”人のせいなどできない。詩織自身の人生だ。過去の行動が次の結果を導いて、今の自分へ繋がっている。(略)過去の自分を受け止めようと思った。そうしたらきっと、今ここにいることの大切さを感じられる。(略)大変なことも多いけど、それを後悔する気持ちなんてない。――仮に全てのことを覚えていたとしても、やっぱり今と同じ道を選びたいと思える。かつてはこの道を進むことができたのだ。そして今は来た道を振り返ることができた。それを丸ごと受け入れて、この先へと進んでいきたい。”
●第4話「読書会のブックマーカー」より

”歌に限ったことじゃない。本や物語でも、誰かと交わした言葉でも、この世の中、後になってから理解できることは多いように思えた。”
”栞に触れた指先から、書いてくれた人たちの思いが伝わってくる。その本で楽しんだり、心が震えたり、新たな知識に興奮したりした思いだ。それが他の誰かにも味わってほしいという思いに変わり、様々な言葉となって記されている。”
”「ブックトークとは、読書の喜びを語る行為である。語り手はテーマに沿って何冊かの本を紹介するが、本の内容や書かれている知識を教えるのではない。(略)目的は、その本を読みたいという気持ちにさせること。語り手はそのために、本の面白さについて語る」”
”本を通して広がっていく世界。――そんなことを語りたかった。(略)どんな本に絡めても、そこから広がっていく世界について語れそうな気がした。”
●第5話「図書室のバトンリレー」

 本の中の気になるフレーズ、覚えておきたい言葉、ためになりそうな登場人物の言動などを探すつもりで、正に本を読んで、そしてこうして記載しています(ドンピシャのことが書かれていました)。
 高校の図書室の司書・詩織の影響もあり、高校生たちが本に興味を持ち、迎えた文化祭でのブックトークの場面は、こちらもその場で聞いているように入り込んでいました。
 行方不明になった元夫との展開なども気になりながら、楽しく読み進めることができました。
 著者竹内真さんによる、小説内に出てくる本のブックトークも巻末に収められています。
 一冊の本から、いろいろな本にまた興味がわいてきます。
 ありがとうございました。


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