箸墓幻想(内田康夫著)

“浅見はそんなふうに、ロマンに満ちた古代史に想いを馳せるのが好きだ。額田王や大津皇子が霞立つ大和の野を逍遥するありさまを想像するだけで、胸がはずむ。”
”小池と交わした会話はもう少しあったと思うが、浅見が記憶しているのはそれだけだ。とくに「勉強は想像と実証」と言った言葉が後々まで頭を離れなかった。”
(本文より)

「箸墓幻想」は毎日新聞日曜版に平成12年4月2日から63回に渡って連載。
その執筆中に、奈良県桜井市の「ホケノ山古墳」が最古の前方後円墳であることが判明。「画文帯神獣鏡」も発見。また考古学の世界で「神の手」と称された藤村新一氏の「石器捏造」事件が発覚。さらに連載修了間際に、奈良県桜井市の勝山古墳から出土した木材の伐採期間が、二世紀末から三世紀初頭にかけてであることが判明。勝山古墳が日本の最古の古墳であることが特定され、それは倭国女王・卑弥呼の時代と完全に重なり、ホケノ山か箸墓を卑弥呼の墓であると想定する学説が強力に裏付けされた。
以上は「あとがき」に記載されていた内容であるが、執筆中にこのようなことが重なるとは、筆者だけでなく当時の読者も興奮したのではないでしょうか。
邪馬台国や考古学、古事記の世界に興味を持つ入口になるミステリー小説。
読書中、頭の中で大和路を行ったり来たりいろいろ想像しながら、旅させてもらいました。
ありがとうございました。

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