出口のない農場(サイモン・ベケット著/坂本あおい訳)

舞台となるのは、出口のない農場で、足を踏み入れると、そこはまるで現在から取り残されたような一種異様な場所だった。(略)逃げているうちに罠を踏んで重傷を負ったショーンは、それを仕掛けた主が所有する農場で看病を受ける。だが、自分は怪我人としてそ...

闇に香る嘘(下村敦史著)

”人間は誰しも老いからは逃れられない。年老いたとき、周りに誰がいるか ―― それが自分の積み上げてきた人生を表すと思う。私の周りには誰がいるだろう。結婚し、娘が生まれ、孫も生まれた。しかし、今や誰一人残っていない。””「・・・苦しみを人と比...

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。(原田まりる著)~「人生を危険にさらすのだ!」の章~

"「人生はいつかは終わってしまうが、いつ終わってしまうかは明らかでない。いつ終わるかが明かされてしまっては、また人生の意味が変わってきてしまう。そういう不透明な時間を私たちは生きているのだから」””「時間が無限にあるのならば、いま私たちが経...

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。(原田まりる著)~「祝福できないならば呪うことを学べ」の章~

"「みんなが、受け入れている条件だから、おかしくないんだ」とみんなと同じこと=よいことだと思いこむと、間違ったものであっても、よいと思いこんでしまうことはあるだろう。 習慣的に周囲に合わせていると、自分で考える能力を徐々に衰えさせてしまうこ...

未完成(古処誠二著)

”自衛隊は「他に行くところがない」という人間のほうが耐えうる場所なのだ。背水の陣だからこそ、がむしゃらになれる。いつでも両親が迎え入れてくれるような隊員は、辛さが限界に達したとき逃げてしまう。それは本人が持つ資質ではなく、環境の問題だった。...

図書室のキリギリス(竹内真著)

”「そういうフレーズを覚えておくと、こうやって笑いもとれて便利でしょ?友達に、こんな面白いセリフがあるよって話したり、ブログやツイッターに書き込んだりしてもいい。そのための、ちっちゃいネタまで探すつもりで、本棚を眺めたり本のページをめくった...

パディントン発4時50分(アガサ・クリスティー著 松下祥子訳)

”「論理的にこれしかないという結論が出るまで、考えぬいていませんね」”●探偵好きの老婦人 ジェーン・マーブルの言葉”真相のごくごく一部を示して、それが真相の全体であると思わせる演技にかけては、クラドック警部の右に出る者はなかった。””「ああ...

時の審廷(芦辺拓著)

”何ごとも過ぎてしまえば当たり前のこととなり、さまざまな幻滅や失望も折り重なって、バカバカしく思えてくるかもしれない。”●「時の審廷」より戦中、戦後、現在と時空を旅させてもらいました。ありがとうございます。歴史上の事件など小説の中で出てくる...

ももこのトンデモ大冒険(さくらももこ著)

”トムを見ていると、自然の中で生き延びてゆくための知恵とか注意力とか精神力がいかに必要で大切なものかがわかる。自然の中でボケッとしていたら死んでしまうのだ。自然の大きな力から細部にわたるまでよく知り、自分も自然の一部になって呼吸して生きてゆ...